そんなわけで、続きからFF8(スコリノ)のお話です。
のわりには、スコールが本当に少ししかでてきてません。全てリノアの回想という感じになってます。
DISK3の場面を、私なりに解釈して文章にしたものです。FF8のアルティマニアを当時参考にして書いたと思います。
ネタバレ前提、勝手な自己解釈に基づいてますが、それでも大丈夫な方は続きからどうぞ!
まるでキスのような声だと思った。
一人ぼっちで残された宇宙の中で、聞こえるものはなにもなかった。
耳が痛くなるような沈黙。孤独に投げ出された私の身体はもう温かくなくて、まるで意識以外はすべて死んでいるような感覚だった。
未来の魔女が私の身体を使って月の涙を発生させて以来、私の中の意識はどこか薄れていったみたいにただ漠然と流れ続けていた。
どうしてこんな冷たい宇宙の中にいるのか、どうしてこんなに苦しいのか - そんなことさえも、正直いってわからない。
みんなと逸れた・・・ってわけでもないし、私が自らこんなところにきたわけでもない。
だから、そのあとすぐにわかったんだ。私は地上にいたらダメな人なんだって。地上に戻れば、きっと私は全てを失ってしまうんだろうって。
魔女の力が私に継承されてしまった今、私は自分で意識を動かすことなんてできない。こうしてふと自分が過ぎる瞬間には、目の前にたくさんの犠牲者がいるんだろう。
怖くて永い夢から覚めたあと、その続きが現実にある・・・そんな感じ。
それならいっそ、このまま孤独な宇宙を漂い続けたほうがいいんじゃないか。
そう思ったけど、魔女は魔力を持ったまま死ぬことはできないって、誰かがいってたような気がする。
そしたら私、急に怖くなったんだ。自分の居場所はどこなんだろうって。
このまま宇宙を漂い続けても、苦しいだけで、本当に死んでしまうには時間が少しかかる。でも地上に戻ったら、もっとたくさん苦しいことがあるんだって。
考えるのが怖くなって、意識が遠のいていく。これから私はこんなに冷たい宇宙の中でずっとずっと続く永い夢を見るんだ。
・・・そう思ってたのに、私の最後の視界に映ったものは暗い宇宙じゃなかった。
鎖に繋がれた、シルバーのリング。そこに彫られていたのは強くて誇り高いライオン。
そのときまですっかり忘れてたんだけど、私スコールの大切な指輪を預かってるんだった。
これを持ったまま意識がなくなってしまったら、またスコールに怒られてしまう。それなら、私が自分の手でこの指輪を返さなきゃ。
そう思ったら、酸素が少なくなった宇宙服のボタンを押して、ギリギリのところで新しい空気が私を助けてくれるのを待った。
徐々に鮮明になっていく意識は、はっきりと私に死んじゃいけないんだってことを自覚させてくれたんだ。
この先の未来のことなんてわからない。誰にも保障なんてできない。もしかしたらこれが最後かもしれない。
だけど私にはしなくちゃいけないことがあるんだ。スコールにこの指輪を渡すことと、少しでもみんなと長く一緒にいられる道を考えること。
スコールはきっと、どこかで私を探してくれている。みんなもきっと、どこかで未来を考えている。
それなのに私だけ眠ったままじゃズルイから、私も仲間になりたいなら強くならなくちゃ。
暗い宇宙の中で光を探しながら、心の中でずっと叫び続けたんだ。スコール、って。
そしたら自分を呼ぶ声がして、目を細めてみたらなにかが自分のほうへ向かってきているのが見えたんだ。
それは絶えず私の名前を必死で呼んで探してくれて、私も何度も呼び続けた人 - スコールだった。
そのあとなんとかラグナログまでたどり着いて、スコールが地上と連絡を取ってとりあえず帰れることになったんだ。
でもそのとき、正直私は嬉しくなかった。
地上に戻ること、つまりそれは、スコールやみんなと一緒にいられなくなるってこと。
私の時間には限りがある。それならば、ほんの少しでもスコールと一緒にいたい。そう思って、スコールにぎゅっと抱きついたんだ。
泣くつもりは全くなかったのに、自然と涙が零れた。誰にも触れられなくなることがこんなにも怖いことだなんて初めて知った。
その先の未来も、これから始まる苦しい現実もいらなかった。ただこの時間がずっと流れて、そのまま終わっていく。そうなればどんなに楽なんだろう。
髪を撫でて抱きしめて、何度も私を宥めるスコールの優しい声を、私は遠く悲しみの中で聞いていた。
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